授業中 先輩、何してんのかな。ああ、先輩も授業中だよな。 俺はぼんやりと、先輩の事を考えながら授業を受けていた。 一番後ろの窓際の席は、正直言ってつまらない。 窓から見えるグラウンドをただ眺めては黒板に視線を戻し、シャープペンをこつこつとノートに打ちつける日々。 たまに来る先輩からのメールをわくわくしながら待ってるとか、先輩には秘密だ。 昼休み後の授業は眠気も増して、瞼を閉じるだけでも居眠りをしてしまいそうになる。 ああ、今だってそうだ、もうそろそろ。 机に突っ伏す瞬間に、肩を叩かれる。なんだよもう。俺は眠いんだ。 「なに?」 「ほら、可愛い先輩来てんぞ」 隣の奴が、にやにやとしながらドアの向こうを指差した。 ガラス窓の部分から、一生懸命に手を振る先輩。一気に俺の眠気は吹き飛んでしまう。 「うあ!せ、せんぱいだ」 俺は頬をゆるませて、手を控え目に振った。ああ、先輩今日も可愛いなあ。 先輩は俺の反応に喜んで飛び跳ねる。その度にピンク色の髪の毛がぴこぴこと跳ねた。 そして先輩はゆっくりと声を出さずに口元だけを動かした。 「……?」 俺は何を言っているのか解らず、もう1回!とジェスチャー。 うんうん、と先輩は頷く。さっきより大きく口を開いて……。 「(す、き)」 ……す、き?好き!だって! 俺はいてもたってもいられなくて、手を挙げてトイレ宣言。 廊下でひとりぽつんと立ってる先輩を抱き締めて、頬擦りをする。 先輩は俺の胸を押し返して、困った顔で俺に上目遣い。 「先輩っ、俺も大好きです」 「!!」 我慢できなくなって、ちゅ、と触れるだけの口付け。 先輩は目を真ん丸くさせて、ただ俺の瞳を見つめていた。 |