くまのある子@

俺はあの試合があった後、光良夜桜を定期的にストーキングしている。
今日も万能坂中の校門で彼を来るのを待っている最中だ。
中性的な容姿に惹かれ、何度も振り向いて貰おうとアタックしたが全然折れてくれない。
下校する万能坂中の生徒達の冷たい視線とひそひそ話。
「あー、こんにちはっ!夜桜ちゃん!」
「うわ、また来たのかよあんた!馴れ馴れしーんだよ!」
夜桜ちゃんは大袈裟にびびって顔を背けた。そしてそそくさと歩き始める。
今日も、なんて可愛いんだろう。俺は小走りで隣につくと、夜桜ちゃんはぎろりと俺を睨んだ。
まるで汚いものを見るような目で見られたら、新しい快感に目覚めてしまいそうになる。
「あんた、ほんとに、なんなの」
「夜桜ちゃんのことが、好きなんだ」
「はあ」
俺は素直に気持ちを伝えると、夜桜ちゃんは大袈裟なため息をついた。
「それで、どうしたいの」
「付き合って、えっちがしたいんです。もちろん、結婚を前提に」
また、ぎろりと睨まれた。だって、本当の事だから仕方ない。
どんどんと住宅街の小道に入っていく。そして、夜桜ちゃんは大きな豪邸の前で足を止めた。
"光良"とかかれた表札。ここが夜桜ちゃんの家かぁ。
俺がぼけっと突っ立っていると、腕を引っ張られた。
「もう、うるさいから、入れよ」
「あの、お邪魔しまーす!!」

親は出張でいないらしい。綺麗に磨かれたフローリングをすたすたと進み、階段を上る。
「うわぁ、すっごい綺麗」
夜桜ちゃんの部屋は、綺麗に整頓されていて無駄なものを何一つ置いていない。
適当に座れと言われ、ベッドの上に腰を下ろした。
「あんた、散々痛い目にあったのに、懲りないよねえ」
「痛い目?別にそんな風には思ってないよ」
試合の一件の事だろう。気にしていたのだろうか。
そりゃあみんなケガとかしたけど、今は治ってるわけだし。
「夜桜ちゃんに会えたから、むしろ試合して良かったと思ってるけど」
夜桜ちゃんは居心地が悪そうに、俯いた。
「ほんと、俺のこと、好きなわけ」
「好きだよ。はじめて見た時からずっと」
ベッドから立ち上がり、夜桜ちゃんを抱き締める。
お団子頭がくすぐったそうに揺れた。
嫌がりもせず、俺の腕の中で大人しくする夜桜ちゃん。


「あの、おっけーってことで良いですか」
「ふん、好きにしろっ」




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テーマ「人外ファンタジー」
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