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ブンッー・・・・


18号を吸収したセルの身体の周囲を光が取り囲む。その光は周囲の空気を圧縮した重力と重みを伴い、何人たりとも近づけない空間をそこに作り出す。光の壁は、完全体への変態を妨害しようとするトランクスの渾身の力を込めた回し蹴りも正拳突きも、はじき飛ばした。
「く・・・っ、くそっ・・・・!」


セルは、全身の細胞すべてが解体され、組変わるのを感じた。そう、すべての遺伝子情報がきれいさっぱりと書き変わってしまうような感覚。

「これで・・・これで・・・完成だ!」


歓喜に湧くセルの脳内に、声が響いた。


「こんにちは。


そして、おめでとう。



やっと
君は
君を



手に入れたんだね・・・」





ひときわ大きな発光を放ち、セルの周囲からバリアーが消える。
その変身を間近で目撃したトランクスは、周囲の大気がビリビリと震えるのを感じ、舞い上がる土煙に思わずその顔を両腕で覆う。
「できあがりか・・・」
上空からその様子を見守っていたベジータは、満足そうに微笑んだ。



その更に上空。
神殿で一部始終を見ていたピッコロはその変身を見届けると、小さくため息を吐いて一緒に居る天津飯とブルマに向き直った。そして、その事実を告げた。

「セルが完全体になった・・・」
「?!」
「クリリン君、私の作ったコントローラー使わなかったの!?」
「コントローラーはクリリン自身が踏みつぶした」
「えっ なんで!?」
ブルマに抱かれたトランクスが、ブルマの驚きを感知して泣き出す。
「知るか」

もとより、クリリンはコントローラーを持っているとはいえ人造人間との力の差は明らかで。踏みつぶさなかったとしても、作戦がクリリン一人でうまくいっていたかどうか・・・?ピッコロは、作戦を放棄したクリリンの行動を不可解に思いながらも、あまり腹を立てる気にはならなかった。
だがしかし。
圧倒的優位を誇っていたベジータがセルを始末しなかった理由を、サイヤ人との付き合いの長いピッコロは、忌々しい程に理解出来た。だからこそ、腹が立った。

「・・・ベジータめ・・・!責任もてよ・・・」



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bkm

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