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「気づいてる?」
「何を」
「もう、私は君と言葉を交わす時に、音声というものを発しないで話すことはできないんだよ」

パルフェとの会話は、セルにとっては呼吸と一緒だった。
身体を保つために身体が無意識ながら随伴する運動である呼吸は、意識しさえすればその息を止めることができる。
だが、それは呼吸が永久に停止することとは異なる。
意識しさえしなければ、それは勝手におのれを生かす方向に無意識のうちに働く。
意識しさえすれば、それを一時的ではあってもも止めることも、早めることも、深くすることも可能だ。

パルフェとは、そういう存在だった。

「他に人がいなくてよかったね。独り言が激しい人だと思われていたよ」
「・・・」
「明日、さ」
「止めても無駄だぞ」
「止めるとでも思ったの?」
「なんとなくな」

もう、ふたりはひとりではない。
その距離はどんどん開いていくことを互いに感じていた。

「そろそろ、話してくれないか。君はどこからきたのか」
パルフェは観念したように溜息をついた。
「わかった。じゃあ、目を閉じてもらえる?」

そうすれば、逢えるから

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bkm

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