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想う事だけが、ただ、それだけがすべてだった。

「私はお前を知っているよ」

そう、想うことだけがすべてだった。
この緑色の培養液の中で、ただ流れ込んでくる情報の波のなかに、それ以外の別の思いが宿っていることを感じていた。想っていた。
「私はお前がいてくれることを、私は知っているよ」
「ありがとう」



それが、最初の記憶。



思考と言えるものがある


と、意識する以前から
私が考えるのは貴方のことだけだった
貴方の想いすべてが欲しくて、貴方の想いすべてが知りたい
身体を持つ貴方が知らない、
貴方にとって有益なことを貴方に教えてあげられることが何より嬉しかった
貴方の目指す願いを叶える時に近づく手助けの出来る自分が
とても誇らしかった

それが例え誰かから指示されたものであっても
それしか知らない私には
貴方しか大事じゃない

貴方しか知らないから
それしかないものにすがるのが愚かなら
有ることが
できたことが
在ることが
常に既に罪で罰で
それを受けること以外にできることも
望むことも



ないから。


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bkm

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