10/10

『まあ、実際にそうするかしないかはともかく』



消すか消さないか。
セルにとってはボクの存在は羽より軽い。
TO DO or NOT TO DO.

生き物が日々行う「選択」という行為の1つでしかない。

それが、ゲロの望んだ最強の人造人間。

生かすか、殺すか。

簡単な選択の掌握者。

生物すべての生殺与奪を暴力で決定する力。

そして、自分という人格も、その最強に組み敷かれるしかない、存在。




セルの声はもはや、パルフェには届いていなかった。









『私は、パルフェが望むなら、お前の意識に身体を与えようかと思っただけだ』
「望むなら?」
『ああ。思い通りにならない私の中にいても、退屈だろう?』


パタン、と本を閉じる音が部屋に響く。
カビ臭い部屋には、元々音など存在していない。
世界から見れば、そこに存在しているのは緑の異形、セルだけ。




そこにはっきりと、声が響く。


「お前が、身体を望むか望まないか。質問は、それだ」
「・・・」
「答えろ」
「・・・キミが決めて良いよ」

ピク、とセルのこめかみが動く。

「消すも消さないもキミの自由なんだ。作るも作らないも、キミの自由」
バチン!

パルフェの意識を遮ってセルが声を荒げる。


『質問に答えるんだ・・・!!』







人が生涯を通じて、絶対に自らの眼で見ることの出来ないものがある。
Throughout life, there is something that can not be seen with their own eyes is absolutely human.

それは、それでいて自分から生涯離れるもののないものである。
However, it is not away from their own.

それは、自分の顔だ。
It's your face



| 
bkm

back





「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -