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パルフェには、セルのことが、わからない。
それは、パルフェ自身が自分の【存在意義(le sont d'etre=レゾン・デートル)】を見失う事と同義だった。
丁寧に背表紙を辿るセルの探し物が終わる迄、パルフェはしばらく完全に意識を閉じた。これ以上わけのわからない感情に支配されていたくなかった。これ以上、自分の意義を自分に問う事を突きつけられるような会話に、巻き込まれたくなかった。

そんな自分を、セルに悟られるのが嫌だった。


ーーー・・・しばらくしてパルフェが意識を戻すと、セルは丸椅子に座って一冊の本をめくっていた。

「・・・」
『やっと気づいたか』

その口調には若干の揶揄が含まれていた。
それにまたまた気を悪くしたパルフェは、またぶっきらぼうに返す。

「読書の邪魔しちゃ悪いよね。またひっこもうか」
『構わん』
「知りたい事はわかった?」
『いや、まだだな』
「へー、完璧なセル様にもわからないことがあるんだね」

パルフェの物言いに小さくため息を吐いたセルは、諭すようなあきれるような感情をのせて、言葉を続けた。

『お前はどうしてそういうものの言い方しか出来ないんだ?』
「そういう?」
『どうもお前の口調は、余裕がなくていかん』
「嫌なら、変えればいいじゃない」
『変える?』
「ボクは、君を反映するんだよ。ボクの口調がこんなんなのは、キミにも少なからずこういうガキっぽいところがある証、ってこと」
『では、私が【変えれば】、お前の口調も【変わる】のか』
「そうだよ。あくまで口調でよければね」


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bkm

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