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再び研究所。
皺だらけの手がスイッチを押す。
試験管の中の培養液がごぼごぼと沸き立ち、中にあった実態はその泡に隠れるがみるみるうちにその身体を変化させていく。
浮かび上がるシルエット。
進化の過程を早送りで見る様な変化。
その変化が一通りおさまり、一瞬の無音。
けたたましい音を立ててはじけ飛ぶ試験管の中から現れたのは

謎の女「ふふ」

試験管から現れた影は、ぐ、と自分の身体を確かめるようにその首を天に仰ぎ、大きく息を吐いた。カメラは手の動きにアップ。開閉を繰り返す掌と指。透き通るほどに青白い皮膚と、つやめく黒い爪。形のいい、きれいな手。
カツカツとヒール音を響かせてそれに歩み寄った人影の後ろ姿は白衣。
アップになった手首にはRRのミサンガ。

謎の女「おはよう」

声のする方向を向く影。
緑色をベースとしたおおよそ人とは言い難い、しかしその瞳を見ればこれは人かとまどう表情を浮かべたそれは、数年前にこの世界中のテレビに映った、死神の顔をしていた。

謎の女「セル」

セルの頭からつま先までのカメラムーブ。
そのままぐるりとスイッチを押した人影(謎の女)にピントを合わせる。すぐに口元のみのアップ。
にっこりと笑う表情だけをとらえたカメラはその表情を移さぬまま、その女に差し出した手を追い、それに試験管から生まれ出た完全体のセルが跪き、うつろな目をしてその謎の女の手を取り口を寄せる。
その表情を見た謎の女の口元は忌々しげに歪み、跪いたセルを容赦なく足蹴にする。抵抗感を示すことなく地べたに這いずるセルを狂ったように蹴り飛ばし叩き続ける女はひとしきりその暴行を終えると、呼吸を整えて歯を噛みしめた。

「やはり、魂はドラゴンボールに頼るしかないのか…!」

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