世界の色




(七霊) ミカゲ成り代わり ヒロイン+テイト





私の世界に色をつけるとしたら

どんな色になるんだろうか。



世界の色




「おーい、ミカゲー!
どこにいるんだ?」


その声は誰を呼ぶ声になるのだろうか。
本来のミカゲをなのか、――ミカゲに成り代わった私をなのか。


「…ま、どっちでもいいか」


誰にも聞こえないよう、静かに静かに呟く。

―だって、ミカゲは私で私はミカゲなのだから。


「テイト!」


一生懸命探してくれてるテイトに居場所を伝えるべく名前を呼んだ。

「ミカゲ!」


それに気づいたテイトはまたミカゲを―私を呼んだ。


「探したんだぞ、ミカゲ!」


「悪い、テイト。」


そのたわいない会話に幸せを感じる。
…この後の展開を知ってるだけに。


「…なあ、ミカゲ」


「ん?」


「ずっと…一緒、だよな?」


「…っ、―ああ」


思わず、返事に詰まる。


―…ごめんね、テイト


小さく小さく、呟いく。
…テイトに、聞こえないように。







―そんなたわいのない日常が過ぎ去って。
士官学校で―というか、アヤナミと―いろいろあったテイトは教会で保護され、司祭になった。

そして私、ミカゲは―








「おーい!ミカゲー」


おかしい、おかしいぞ。


「ミカゲっ!」


なんで、生きてるの?!


「ミカゲ、呼ばれてるぞ」


ニヤニヤしながらフラウ司教が言う。


―こんちくしょうめっ!


「…そうですね、」


何故か私―ミカゲは生きている。
導きのドラゴン、フュールングとしてではなく。
ミカゲ自身として。


「ミーカーゲー」


私を探し呼び続けるテイト。

―ああ、本当に。


「おい、クソガキ。
生きてるって素晴らしいことだろ?」


テイトにいい加減、声をかけようとした私にフラウがそう言った。


「…はい、本当に。」


全部、全部。
フラウは知ってるんじゃないかと時々思ってしまう。

全てに、気づいているんじゃないかって。

でも、きっと。
ミカゲの未来を…人生を知ってた私が、生きることを諦めてしまっていたこと。

そのことには気づいていたのだと思う。

だって、私を見るフラウの目はとても温かくて優しいから。


「ほら、いい加減テイトんとこ行ってこい」


…行こうとしたのをフラウが邪魔したんじゃないか!


「…言われなくたって、行きますよ」


少しふてくされながら、そう返す。
フラウのにやけた顔に余裕がにじみでていて。
腹が立つのは気のせいだろうか。


「はぁ。…テイトー!」


今度こそテイトに声をかけた。
そして、テイトのいる方へと駆け寄って行く。


「ミカゲ!どこにいたんだよ、探したんだぞっ」


「悪い、ちょっとフラウ司教と話しててさ。」


「フラウと?…ふーん。
あっ、そうだ!ハクレンが向こうで待ってるんだ。」


行くぞ!とテイトは私の手を掴んでハクレンが待ってると思われる方へと走りだした。


「ちょっ、テイト!そんな急ぐなよっ」


若干、引きずられながらもテイトについていく。
しばらく走った先にはハクレンが見えた。


「ミカゲ!」


テイトは私を呼んだ。
テイトは走りながら、器用にこちらに顔を向けている。


「なんだよ、テイト」


その顔はどこか真剣で。
でも、ちゃんと笑っていて。


「―ずっと、一緒だ!」


ねぇ、テイト。


「っ…、おう!」


私は今度こそ、その言葉に全力で頷くことができるよ。





―もし、私の世界に色をつけるとしたら

どんな色になるのかは分からないけど

だけど、その色はきっと

きっとね、テイト

貴方の色だと思うんだ―













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