始まりの始まり




(七霊) テイト成り代わり ヒロイン+ミカゲ





走る

走る

私は走る


手を引かれて


ただただ、走っていた



始まりの始まり




気付いたら、私は走っていた。

手を引かれて、走っていた。


どうして、なんで


私は普通の高校生で。
昨日は、普通に一日を過ごした。
朝起きて、学校に行って、学校から家に帰ってきて。
ご飯食べて、お風呂入って、ベットで寝て…

それから、それから。


気付いたら、走っていた。


「はぁっ…、はぁ」


一体、何処を走ってるんだろう。

こんな場所、知らない。
知らないのに、見覚えがある。

ふと、気付いた。

目線が、低い?

えっ、なんで、えっ?!


「今は逃げて生き延びろ!!」

―他には何も考えるな!!


私の手を引く人が言った。
聞き覚えがある、声でその言葉を。

私はそこで初めて手を引く人を意識して見た。


―え、


「ミ、カゲ…?」


どうして。
なんで、ミカゲが。
これは夢だろうか。

そして気付いた、目線が低い理由。
私はテイトに成り代わっている。

今私はテイトという、人物になっている。
鏡とかがあれば姿が確認できるのに。


がやがやと、追っ手の声が聞こえる。


―ああ、これは成り代わり夢というやつなのだろうか。

本当に夢を見ているのか、成り代わってしまったのか。
それはわからないけど。

でも、生憎私はこの先の出来事を知っている。
大好きな07-GHOSTの物語を。
原作のマンガもアニメの方も。

もしかしたら、私の言動によって変わっていくかもしれない。

でも、だけど。

それが良い方向に変わるように。

たとえ、悪くなってしまっても。


それでも、いいから私は

私にできる最善のことをしよう。


この夢が醒めるまで―--



「そこの二人!!何者だ!!止まれ!!」


私はテイト。

ならきっと、テイトにできることが私にはできる。


私はミカゲがそうするように、足を踏み締め

跳んだ。


「!?」


「動くな!!」


考えた、考えたよ。


「動けばこの人質を殺す!!」


ミカゲが小さな声で「テイト…」と言ったのが聞こえた。

ごめん、ごめんね。
考えたんだ。
だけど、だけどね。


「下がれ!!」


「く…!!」っと、追っ手の人達がじりっと下がった。


私はふと、微笑んでミカゲだけに聞こえるように囁いた。


「ごめん、ミカゲ」


考えた、ミカゲの家族のこと。
これからする私の行動によって、もしかしたら
酷いことをされるかもしれない。
最悪、殺されてしまうことだって。

でも、殺されないかもしれない。
でも、ミカゲは殺されてしまう。

酷い奴だと詰ってくれていい。
恨んで憎んでくれていいから。

だから、私にミカゲを救わせてほしいんです。


「ごめん、ごめんねミカゲ。
 ―俺はミカゲを巻き込むよ」


ミカゲに嫌われてしまってもいい。
ミカゲはそんなことしないだろうけど。
でも、もし。
嫌われてしまったら、ごめんねテイト。



「この人質は無事に逃げ切れるまで連れていく!
人質を助けたかったら、後を追うな!!」


私は大声でそう叫んだ後、
今度は私がミカゲの手を引いて
ホークザイルへと飛び乗った。


―これで、後には引けない。


逃げる最にアヤナミ様と目が合った気がした。
いや、アヤナミと。
実を言えばアヤナミ率いるブラックホークの人達も好きだ。
けど、私はテイトでミカゲの手を取ったのだから。
彼は、彼らは敵なんだ。
彼らを傷つける覚悟を持たなくてはいけない。


ふと思い出して防御壁を張った。
さすがテイト。
成り代わっているけど、能力はテイトのままだと分かってホッとした。
後は覚悟を決めるだけ。

防御壁を張った直後に来た衝撃。
かなり痛いけど、致命傷は避けられた。


これでも記憶力はいい方なんだ。
明確に全てとはいかないけど、大体のことは覚えてる。

このまま物語を進めていくのに充分なほどには。
だから、大丈夫。


「テイト、大丈夫か?!」


ミカゲの心配する声が聞こえる。

やっぱり、ミカゲは優しい。
私はミカゲが大好き。
みんな好きだけど、ミカゲが死んでしまった場面で
大泣きするぐらいミカゲが大好きなんだ。

死んでしまってからも、ぷるぴゃになってからも
テイトを支え続けるミカゲ。


ぶるぴゃなミカゲも好きだけど、やっぱり

私はミカゲに生きて幸せになってほしい。


「大丈夫だよ、覚悟してたし。
それより、ごめんねミカゲ」


あなたを巻き込んでしまって。
あなたの大切な家族を見捨ててしまって。


「なに水臭いこと言ってんだよ!
オレ達は親友の誓いを立てた、親友だろ?」


ミカゲはにっこりと綺麗な笑顔を浮かべた。

やっぱり、ミカゲはミカゲだ。


私は覚悟を決めた。
彼を、あなたを、ミカゲを


「―うんっ」


絶対に死なせない、と。




私がミカゲを護るから。

だから、ミカゲは支えてほしい。

テイトを支えた様に私のことも支えてほしい。


そうしたら、私はかんばれるから。

















―帝国第7区バルスブルグ教会へと続く道。
そこにホークザイルに乗る、3人の男性が。


「ダメですよ、フラウ
そんな所走っちゃ!」


一人の男性が、崖の側面を走ってる―フラウと呼ばれた―男性へと声をかける。


「崖崩れが起きたら死にますよ!」


「こっちの方がスリルがあって楽しいんだぜ」
―これがオレの道だ!


フラウと呼ばれた男性はそう応えた。


「バカと偉い人は高い所が好きって言うしねー」


3つの影のうち、最後の中性的な男性はフラウの言葉にそう返す。


そして、その時。

1番始めの男性があることに気付いた。


フラウの真上に落ちてくる、2つの影があることに―--






to be continued ....?









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