リストラ審神者のカルデア居候記B




(FGO×刀剣乱舞)
男審神者+エミヤ(弓)+ロマニ+術ギル クロスオーバー







俺は別に朝に弱い方ではなくて、どっちかっていうと強い方だと思う。

だけど、審神者になって初日が慣れてないこともあってか、いろいろありすぎて疲れすぎたのか。
次の日の朝は思いっきり寝坊してしまった。

昼頃になっても起きてこない俺を心配したのか、初めに選んだあいつがおそるおそると俺を起こしにきた。

それからしばらく慣れるまでなかなか起きれないことも多々あって。その度にあいつが起こしてくれていた。

慣れたころにはもう問題なく自分で起きれたんだけど、あいつらの中では俺はすっかり朝に弱いやつで。
その日の近侍が嬉しそうに起こしにくるから。…起こしにきてくれるから。
それを嬉しく思ってしまった俺は目が覚めても二度寝をしたり寝た振りをしたり。すっかり朝にだらしないやつになってしまった。
…本当は朝ひとりで起きれるんだと、訂正できなかった俺の小さな秘密。それとも嘘になるんだろうか。
…俺は神様に嘘をついてしまったのか?でも優しい神様たちだから許してくれるだろうな。

ああ、きっとそろそろ食欲をそそるおいしそうな匂いが審神者室までただよってくる時間だ。
そしたら今日の近侍が起こしにきてくれる。…今日の近侍はだれだっけな。山姥切だったけ。

そう思いながら目をうっすら開ける。
…ああ、見慣れない天井だ。そうか、そうだった。

「ここは俺の本丸じゃなかったな…」

そうぽつりとこぼした小さな呟きは、静けさに包まれた部屋にそっと消えていった。





リストラ審神者のカルデア居候記




あーあー!疲れたー!!!!
今日の午前はここで働くスタッフさんとの顔合わせがメインだった。どうして顔合わせってこんなに疲れるんだろ。緊張するからかなぁ。
スタッフさんには一通り紹介していただいた。そのあとスタッフさんたちの仕事をちょっと見学させてもらったりもしたんだが、俺にはさっぱり…。俺やってけるかな…。いや、俺が任せられるのはザ・雑用なんだけど。
あと、なんか他にもいるらしいんだけどその人たちはおいおいらしい。…エミヤさんたちみたいな人達のことかな。英霊だっけ?
ああ、でも、モナリザにそっくりなダ・ヴィンチちゃんさん?は紹介してもらった。モナリザにそっくりなダ・ヴィンチだぜ?すごくね???
彼女?も人ではなさそうだったなぁ。

怒涛の午前を終えた俺は食堂で瀕死状態。
回復アイテムの昼食をいただいて、HP回復中です。

午後は俺にできるだろう仕事の説明と実践だとさ。…今から不安だ。こんな時、頼れる近侍がいればなぁ。


「やあ、審神者だったかな。今日の昼食はお気に召したか?」

声のした方を向けばイケメンエミヤさんが。
…相変わらず唐突に表れるなぁ。気配を消されてしまうとぼかぁね、気を張ってないと気づけないんですよ…?そんなん疲れるじゃん!?!だからしないよ?!

「はい、大変おいしいです」

だけれども、おいしいご飯には罪はないんです。
光忠もそうだけどさ、料理上手なイケメンってどう思う???ずるくない???あー、みっただのご飯が恋しい…。光忠だけじゃなくみんなの手作り料理やお菓子が恋しいです…

「それはなにより。腕をふるったかいがあるさ。」

イケメンボイス&微笑みを浮かべるエミヤさん。…おかしいな、イケメンは見慣れてるのになぁ。心の汗が止まらない…
エミヤさんはそうこうしてるうちに俺の前に腰を下ろす。「聞きたいことがあるんだが、いいか?」そう神妙に切り出す。んーんー、何かやらかしただろうか。
とりあえず、どうぞ?とにっかりと笑ってみせる。


「では、遠慮なく。…不躾な質問ですまないのだが。
君の話をこの間聞いた限りでは、とてもいい職場環境だったようだが。…なぜ不当な解雇を?」

あー…んー、そうか。そこら辺の事情を藤丸もロマンもあまり聞いてこなかったから、俺も話したりしてなかったかも。別に隠してた訳じゃないんだけどねー、そうとられるのかな?

「えーと、なんて言えばいいのかな。ちょっと特殊な職場環境で、指示役1人と実行役多数にサポート役基本1の住み込みの部署がたくさんあるところの、俺は指示役だったんですけど。
あ、ちなみに実行役とサポート役は部署によって様々でばらつきがあります。指示役の手腕で増えたり減ったりするし」
「んで、俺の部署は割と優秀な方でして。上司の覚えもよかったわけでして。んで今までがんばったご褒美に休暇をもらったんですけど。上司ってかね、俺たち部署の上にいる人たちとかってたくさんいるんですけど。その人たち基本的にはいい人が多いんですが、中にはクズっていうのかなブラックな野郎もいまして。」
「優秀なうちの部署はそのブラックな野郎にも目をつけられてて、俺の休暇中に乗っ取り未遂をかまされました!てきな感じです。
あ、でも俺は俺の部署のやつら信じてるし、ホワイトな上司も信じてるから未遂ってわけです。たぶんなんとかしてくれてると思うんだけど、いかんせん、連絡がとれないからなぁ」

ここまでノンブレスです。畳みかけるように話してしまった….。ごめんな、エミヤさん。
なんで連絡とれないかって?ほら、基本連絡するものって本丸にあるじゃん?こんのすけがしてくれたりするし。
え?審神者端末は?って?あれね。ほら、あれって基本、本丸のデータみるやつじゃん?まぁいざって時の連絡用ツールでもあるみたいだけど。連絡先なんてこんのすけと担当さんぐらいしかはいってないし。携帯
もてないからね、審神者って。基本的にであって、持ってる人もいるらしいけど。でも俺、連絡先ってほんとこんのすけと担当さんでことたりるしぃ?
あとさにちゃんとかにもつなげられるらしいけど、俺みないし。置いてきちゃった☆てへぺろ!
あ、あ、ごめんなさい!石投げないで!俺の自業自得です…!!
あー、でも、いろんなデータはいってるから、前にこんのすけがいろんないってた事とかもはいってるのか…。そしたらここがどんなとことか、英霊ってなんぞや、みたいなこともわかったかも…?


「…そうか。じゃあ君のとりあえずの目的は無事に連絡をとることだな。
…マスターが寂しがるな。」

君に懐いてるようだったから、と優しそうな笑みを浮かべる。
んー、まぁ、連絡がとれたらこっちのもんかなって思いはある。というか現在進行形でなんとかしてくれてるだろうし。
でも、さ。

「そうなんですけどね。藤丸にもマシュちゃんやロマン、そしてエミヤさん。ここの人たちにはお世話になってるし助けてもらってるから。
何か少しでも返してから役に立ってから帰りたいなぁと思ってますよ。まぁ、もし帰ったとしても何か力になれることがあったら協力したいですしね」

もらってばっかりはねぇ?
それにあんだけ慕ってくれてると、先輩風吹かしたくなるし?

エミヤさんは「そうか」とこれまた優しそうな表情を浮かべるだけだった。


藤丸、よかったね。幸せそうでよかった。







雑用ってなんだっけー?
いや、まあ、雑用なんだけど。でも、めちゃくちゃ忙しい…。いやね、忙しいのはいいんだ。でも、めっちゃ難しそうな専門的雑務は俺には無理かと?!
ほんと猫の手でも借りたい状況なわけね…できるかぎりがんばるけど、専門的雑務だけはちょっと勘弁です…。頭がちんぷんかんぷん…ショート寸前…

仕事がひと段落して廊下で項垂れる俺の前(邪魔だね、ごめんね)に、白い?青白い?生き物が現れた…
「フォウ?」
鳴き声も独特…なんだこれ。なんだお前。これって存在してていいものなの…?
あ、もしかしてこんのすけ的な生き物?しゃべる?

「ねぇ、君のお名前は?話せる?お話する?触っていい?」
うふふ、いくら君が妖しくとも、もふもふは正義だもんな…。触りたい…もふもふ…

「君はこんなところで何をやってるんだい?」

俺の頭上から呆れたかのようなイケボイスが聞こえてくる…目線を上にずらせばそこにはイケメンDr.ロマンが…!!!
…あ、思ったより顔が近い。しゃがんでくれてるのか。優しいイケメンだ…。
俺もいそいそと起き上がりロマンに目線を合わせる。

「いやぁ、目の前にもふもふが現れたもので…。なんですか、これ。あとしゃべります?」

ん?もしかして廊下で項垂れてたことに対して聞かれてるのか?

「え…あ、うん。この子はフォウくん。こんな可愛い見た目してるけど、意外と凶暴だよ。マシュと立香くんにには懐いてるけどね。あと、しゃべらないよ?」

なるほど、ロマンには攻撃的…と。
そっかぁ、なんだ。しゃべらないのかぁ。

「狐じゃないですもんね、仕方ないか」
「え?そういう納得の仕方なの?まって、君の中では狐はしゃべるの?しゃべらないよね?」
「えー?狐はしゃべりますよ。その狐によりますけど」

管狐のこんのすけと鳴狐のお供の狐はしゃべるし。
でも、獅子王の鵺も五虎退の虎もしゃべらないもんな。仕方ないか。
ロマンは「ええー?!」とさっきから納得のいってない様子。
懐いてない子には攻撃的なフォウくんとやらは、触らしてくれるのだろうか。思わずじーっと見つめてしまう。…少し後退されてるのは気の所為?怖がられてる?

「そこで何をやってるのだ、貴様らは」


しゃがみこむ俺とロマンの頭上よりまたイケボイスが…こんどは聞いたことない声だなぁ。
ロマンをちらっとみれば「な、な、なんで君が…!!!」と慄いてて忙しそうだ。
顔を上げるとそこにはザ・イケメンが。正統派な顔だよなぁ。かっこいい…普通にかっこいいわ。
あ、でも、正統派イケメンといえば山姥切だろう!うん、やっぱり山姥切のが好みだわ。

「貴様、失敬なことを考えてるのではあるまいな?」
きっと俺にだろう発言にロマンが立ち上がり、慌てた様子で言葉をつなぐ。
「いや、え、ほんとなんで賢王様がここにいるの?!僕、徐々においおい紹介していくからしばらくはそっとしておいて、って言ったよね?!それに貴方が彼に興味を持つなんて…」
「ふん、何故この我が貴様の言うことに従わねばならん。それにこの雑種に気を使うわけなかろうよ。貴様は勘違いをしているようだが、我は雑種などに興味はない。気まぐれだ!」

この正統派イケメン中身は正統派じゃないぞ…。賢王ってことは王様?えマジモンの王様???
てか、この話の感じだとこの正統派イケメンも英霊なのか…?スタッフの人たちとはすでに顔合わせ済んでるし。おいおいに、ってことはやっぱり英霊さんたちのひとりなんだろうな。
さすがにこのまま1人しゃがみこんでるのは失礼だろうと立ち上がる。その際に名残惜しくフォウくんをみるも、すでにそこにはいなかった。え?どこいった?いつの間に??ええー…俺も連れてってほしかったなぁ。

立ち上がり、改めて正統派イケメンな王様をみる。あ、やっぱりかっこいい…じゃなくて!!!!この人…
「え、神様…???」
めっちゃ神気まとってるんですけど?!!?
え、神様…?神様なの??えー…藤丸どういうこと…

「…ほう、我の神気を見抜くか。そうさな、俺は半神半人よ。…そういう貴様も神気を纏ってるようだが?が、貴様は所詮人間だ。よほど神に囲われて育ったらしいな?」
半神半人の王様とか…え、なんかやばい気がしてきた…とんでもない人じゃない????
でも!俺は神様に囲われて育ったわけじゃないですー
「嫌だなぁ、俺は日本人ですよ。八百万の神々を信仰する人種ですよ。そりゃあ節操なくいろんな国の神様とかも身近に感じてたりしますけど、信仰もそんなにあつくはないですけど。でも根本は貞操深い日本人ですよ。八百万の神々に対する根深い思想は健在です。日常の身近なものに魂が宿ってることを信じてる日本人です。そこらかしこに神様を感じる日本人ですよ?」
そりゃあ、神様に囲まれて育ちますとも!
「ふん、減らず口め。ならば日本人ならば全員が貴様のように神気を纏ってると…?そんなわけなかろう。あれは立香は貴様のように囲われておらん」
あれー?めっちゃ冷たい目で見られてる…
「それはね、きっと。俺は神様に愛されてるんですよ。…それに藤丸だってあなたたちに愛されてる。」
俺も俺の神様を愛してますしねー?!
それにそれに藤丸だって、いろんなの纏ってるじゃん!?お互い様だと思うんだけどなぁ。
俺がなお言葉を綴ると「ハッ」と言われてるかのような絶対零度の目線を浴びせる正統派イケメン…ご褒美だけどめっちゃ怖い…


「ドクター!Dr.ロマン!!
       ロゼッタ協会というところより審神者氏に届け物が…!!!!」


そんなただならぬ雰囲気を勇敢にもぶち込ましてくださったのが、スタッフさん!!!あなたの犠牲は無駄にしない…!
って、ロゼッタ…?なにそれ、全く知らないんだけど。

さっきまで空気と化してかたロマンが「え…?!ロゼッタ協会から?!なんで…?!」と慌ててる。そんなにすごいとこ?
でもすぐに持ち直して「中身は?」と聞いている。本人目の前にいるんですが…? 

「はい、念の為に先に調べさていただきました。
端末と25cm程の刀剣となにやら面妖な狐が…」


え…?え、、まじ…????















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