目に見えない真実




(九龍) 九龍+龍麻 皆←主






知っていた、分かっていた

それは転校してきた当初に気付いていたこと

だから、気付いていないふりをし続けた

相手の思惑がまだはっきりしていなかったし、……"おもしろい"と少なからず思ったから

だけど、いつの間にか違っていて

自分を敵と見なす彼等の動向を知る為だったそれは、いつの間にか変わっていた

ただ、純粋に彼に興味が湧いた

彼を信じ、―信頼してしまった

否、…彼に好意をもってしまったのだ

だから改めて彼と対峙する事となって、要らぬ混乱をしてしまった


―明日、彼と対峙…敵対するだろう

それは確信にも似た勘だった


一人、屋上で混乱する俺の元に扉を開け近づいてくる人の気配がする

…きっと、わざとなのだろうけど


「…龍麻さん、ですか?」


「ああ、さすが宝探し屋だな」


「そりゃあ、気配を消さずに近づかれれば分かりますよー」


思わず、苦笑してしまう

…一人になりたかった
頭の中を整理したかったからだ

けれど、かえって混乱してしまった気がする

だから正直、龍麻さんが来てくれて助かったと思った


―これ以上、要らぬ混乱をまねきたくないから


「…なぁ、九龍」


静かに龍麻さんの声が響く


「目に見えているモノが真実とは言わない、だろ?」


前を見据えてそう言った、その人の表情は俺からは見えなくて


「目に見えているモノよりも、見えていない方が大切な事もあるんだ」


でも、その声色はとても真剣で


「何が事実か、じゃなくて何を信じるか。

大事なのはそこだろ?」


そう言って俺に顔を向けた龍麻さんは、とても優しい温かな微笑みを浮かべていて


「―っはい、そうですよね!」













俺はお前を信じるよ、だって信じたいから









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