私なりの Happy End




(剣風帖) 主京前提 主←美里





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貴方の…そして、私の為に






學園生活、最後の日


これでもう、さようなら

という事はないけれど、いつものようには、会えなくなる

それは、とても寂しい事


そして今日私は學園生活だけじゃなく、この想いに終りを告げる


「龍麻、ちょっといいかしら?」


彼―京一君と仲良く話している、龍麻に声をかける


「…べつに、いいけど」


龍麻はそう言うと席を立つ

不安そうな京一君に「大丈夫だ」と微笑み、龍麻は教室を出て行く


不安げな京一に申し訳ない気持ちになるけれど、私もこの想いに決着をつけたいから

だから、少しの間だけ我慢してほしい


―なんて、私の我が儘ね


京一君に「ごめんなさい」とだけ言って私も教室から出て行く

龍麻の後を追いかけて







「で、葵。どうしたんだ?」


人気の少ない、校舎の裏に私と龍麻がポツリといる


「…ええ、ごめんなさい。
 最後に話しがしたかったの」


私が謝ると「べつに構わない」と言ってくれた


―嗚呼、


「…それで、話したいことって?」


―貴方は、貴方達は…


「龍麻、私は貴方が好き」


―優しすぎる
  痛いくらい、優しすぎるの


「……、葵………俺、は」


龍麻が言葉を紡ぐ

けれど分かりきっているその答えを、私は聞く気はなくて

その言葉を遮った



「だから、さようなら」


私のその言葉を聞いて、龍麻が痛そうに顔を歪める


「今まで、ごめんなさい。
私は貴方達の気持ちに、気付いていたのに気付いていないフリをしていたの。
本当に、ごめんなさい」


でも、これで最後


「ありがとう」

―私の我が儘に付き合ってくれて、 本当にありがとう


私はそう言って微笑んだ

龍麻は何も言わない、否、言えない


―だって、私が望んでないから


「京一君にも、“ありがとう”って
  伝えてくれないかしら?」


微笑みは崩さずに私は言う


「―ああ、分かった。
    伝えとくよ」


龍麻はそう言い、笑ってくれた


「…また、みんなで会いましょうね」


そう言った私に「ああ、そうだな」と龍麻は応えて、
そして京一君の待つ教室へと帰って行った

龍麻の姿が完全に見えなくなってから、静かに私は泣いた

けれど、悔しさや悲しさなんてない

ほんの小さな、寂しさはあるけれど


さようなら、私の恋心

貴方を好きになれて、よかった

貴方が彼を好きになってよかった


私は嬉しいのよ?

だってこれも、ひとつのHappy Endでしょう?





―私なりの、精一杯な


「幸せなハッピーエンド、だものね」











私なりの Happy End









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