どんな幕引きであろうとも当の本人たちが匙1杯程でも幸せを感じていたのなら、それはもう幸せな終焉でしょ?




(鬼滅) 宇善 21gの在処 宇髄から善逸へ 死にネタ




「なぁ善逸。お前が俺の手を取れないと言うならそれでいい。」
「だからひとつ約束しろ。」
「お前が死んだらお前の21gは俺のものだし、俺が死んだら俺の21gはお前のもんだ」
派手に嬉しいだろ?


宇髄さんが亡くなった。
忍びとして育ち生きたその身体はそもそもが永くはもたなかったらしい。それを承知で生きていて、雛鶴さん須磨さんまきをさんもそれは同じらしく。彼女たちはもし自分たちより先に宇髄さんが亡くなったなら、自分たちも一緒に眠る、と決めていたというのだ。
道具として育ち生きた自分たちは完全には人間にはなれないから、と。自分たちを人にしてくれた愛する人と最後まで共にすることを生前に宇髄さんにも認めさせたらしい。女性はこうも強い。
そんな彼女たちは宇髄さんが亡くなったその日に生前より託された屋敷の後始末を終え、自害用の毒をあおり宇髄さんをまるで守るかのように囲い息絶えていたという。
そんな夫婦たちの遺体は忍びの身体は毒になる、というたってのあの人の要望により骨が残らないほどに燃やしつかされ、その僅かに残った遺骨と遺灰は土に還るようにと入れ物に入れずに埋葬された。
そして忍びの知識も道具も決して残さない、という強い意志の元、本当に残された屋敷はがらんどうであった。
音の呼吸の指南書なるものすらも残さなかった。
着ていた衣類も使っていた食器も筆も集めていた書物も思い出の品も。何一つ残さなかった。
きっとあの人は信じていなかった。恐れていた。自分の中で生き続けるかつての忍の痕跡を消して塵一つ程でも遺したくなかったのだろう。
あの人は生きてた頃からお嫁さんに対して以外は残る品は何も贈ることをしなかったから。俺は何も宇髄さんを感じるのものを持っていない。
あの人と同じくらい臆病な俺も決して残るような贈り物をしたことはなかったけれど。
俺は決して差し伸べられた手を取ることができなかったけど、俺と同じくらい臆病なあの人のことだ。俺がその手を決して取ることがないから、その手を差し伸べていたのだろう。なんて滑稽で残酷だ。

ああ、でもひとつだけ。たったひとつだけ。
あの人が俺に遺した約束があった。ほとんど押し売りだったけど。
「おかしいなぁ、ほんの21gだけ身体が重くなった気がするよ」
ねぇ、いまだけ。今だけ許してよ、もう決してあなたたちを想って泣かないから。

だってあんたたちは幸せに生きたのだから





















「なぁ、善逸。こんな事言うのは不謹慎かもしれないが。…お前から宇髄さんの匂いがするよ。前よりもずっと」










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