クッキーとビスケット
(TOA) ルクピオ
折角、俺が会いに来たというのにピオニーは(俺が持ってきた)クッキーとビスケットに夢中だ。
意識せずともため息が零れる。
「なぁ、」
それまで俺の事なんて気にも止めていなかったピオニーが、声をあげる。
「クッキーとビスケットの違いって、
恋と愛の違いみたいなもんだと思わないか?」
クッキーとビスケットを片手にいきなりそう言い出すその姿は、とてもじゃないが一国の主とは思えなかった。
「何だ、いきなり…」
呆れて思わず溜息が出てしまうのは、仕方がない。
「だから、な?
実際に食べ比べてみたり、見比べたり、言われたりすれば気付くが
ぱっと見、分からん。
分かったとしても、違いを説明するのは難しい。」
―まぁ、詳しい奴は別かもしれんが。
ピオニーは小さく苦笑をし、言葉を続けた。
「恋も愛も、そうだと思わないか?」
そう微笑み聞く姿は、どうしようもなく綺麗だった。
クッキーとビスケット
違いは分からなくとも、この想いはお前へのもの
それだけ分かれば問題はない