頬に手を添え、キスをした







君にキスをする。

寝ている君に。

額に頬に瞼に、キスをする。

触れたかどうかも分からないほどに、優しく。



君が…起きないように。


「…ごめんね、君は怒るかな。」


―いつもみたいに顔を真っ赤にしながら。


「でも、その後に」


―いつもみたいに仕方ないなって、笑ってくれるかな。


「…許して、くれるかな?」


―それとも、嫌いになるのかな?


「そうだったらいいのにな…。」


そうだったなら、きっと君は傷つかないから。
君に嫌われることよりも君が傷つくのが怖いんだ。



どうして、なんだろう。
ただずっと傍にいたかっただけなのに。

二人で生きていきたかっただけなのに。


「…ごめんね、でもこの気持ちだけは本物なんだ。」


君にだまっていなくなる僕を赦してとはいわないよ。

だけど、どうか。

僕がいなくなったことで傷つかないで。


「…すき、だいすき、―あいしてる」




頬に手を添え、キスをした




唇に、 さ よ う な ら








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