fate×タイバニ
2015/06/10 01:35
縁側に腰かけてただ庭を眺める
平和そのものの日常は未だに慣れずに、罪悪感を胸にのこす
だけれど、この決して慣れることのない日常ができるだけ長く―できることなら、あの子が僕なんて必要としなくなるぐらい大きくなるまで―続いてほしいと切に願ってしまう
―それが無理な願いだと知りながら、分かりながらも願わずにはいられない
「…よっ!邪魔するぜっ」
声がする方には顔を向けず、ただ「また君か…」と小さくため息と一緒に呟く
誰と確認する必要もない
この日常には慣れないが僕が仕掛けた結界をものともせず我が物顔で侵入してくる男にもう慣れてしまった
「相変わらず、つれねぇなぁ。でもまあ、顔を見るなり舌打ちされてた頃よりは大分ましか」
苦笑いしながらも男は僕の隣に腰をおろす
そのまましばらく何を話すでもなく、ただ庭を眺めていた
――ああ、僕は
「俺もお前もただの親父だな。何もできやしない、ただの親父だ」
ただ前を見つめ話し出した男に視線を向ける
「何もできやしないが、そんな親父を必要にとしてくれてる人たちがいる。それで十分だ、十分すぎるくらいだ。」
清々しい表情で、前を見ていた視線を空へと向ける何を考えているか分からない男から視線を地面へと向けた
「お前と僕は違う」
「違わねぇよ」
「僕にそんな資格はない」
「関係ねぇよ」
「…たくさんの人たちを犠牲にしていても?」
「少なくともあの子たちには関係ねぇな」
「愛する人たちを死なせたとしてもか?…守ろうとも救おうともせずに見捨ててきた」
「それをお前は悲しんだだろうが。ずっと苦しんでんだろ。」
「……僕はっ!愛する妻との約束も守れずっ、せめてこの子だけは幸せすると誓った愛しい娘を迎えにいくこともできないっ!」
「…それでもお前が救ったあの子にはお前が必要だ」
救った?僕が?違う
「……僕が、救われたんだ」
あの子が生きていてくれたから、あの子と一緒にぬくもりをくれたから、
あの子が僕に笑顔をくれるから、
だから僕は
「―なら、手を離すなよ。許される限り、傍にいてやれ」
ごめん、ごめんねイリア
「それに、託すことも大切なことの一つだろ」
許してなんて言わないよ
恨んでくれてかまわない、いやむしろ許さないでほしい
言い訳なんてしないよ
だって、僕がいけないんだから
でもきっといつか遠くない未来に君を王子様が助けてくれるから
僕なんかよりうんと素敵な王子様が