その名の通り、国王が人民を支配する権力は、神から授かったものであるとする学説。 市民革命期前の絶対王政のころに流行った。


めでたい音楽と紙吹雪が宙を舞い、高々と式典の開始が合図された。遠い異世界は全宇宙の統合から切り離された断片だった。誰もが喜び笑顔でお互いに語りかけるのに、この国の王子だけは不満足であった。弟の様子に呆れないでいつも通りだとみなすキースはこの国では有名で地位のある男だった。彼は用意された椅子に座り、毎年繰り返される宰相の説教を聞きながらそろそろ世にも飽き飽きしてきた頃だった。退屈な日常に明かりなどささないくらい苦しい状況、彼は別の惑星からやって来た客の名前を出迎えてご満悦でもなく、寧ろますます困窮した王国の立ち位置を思い知らされるだけだった。

「こんにちは、キース、あなたは最近はどうなの?」
「普通だな、めっきりこういう催しも減ってしまったから会う機会も少なくなったが……そっちはどうだ」
「ええ、私は元気よ。球状星団も平和じゃなくなったものね」
せせら笑う女性は紅茶を一杯飲もうとした。彼女は沢山の技術をこの惑星に寄付していたが、そのうちの一つが食料であったのは間違いない。農耕への多大なる投資と、また貧困地帯への食事の寄付は彼女のしてくれることの有り難みだが、キースとはもう古株の仲であられた。

「ここは冬になると厳しいものね」
「そうだな、まあ、こんな所つまらなくなってきているかもしれないが」
彼は国民の中でも選ばれた男の一人。騎士を名乗る由縁は全てこの王国の価値を守るためだ。彼は長い金髪を鬱陶しそうに肩に置くと、名前の持ってきた秘宝を凝視した。それは彼女の王国に伝わるプロトカルチャーも驚く技術の施された魔法の箱であり、中には貴重なハインツ王子の歌う歌の楽譜が入っていた。しかも箱自体はボタンを押せば音楽を流して序でに空中に立体映像も投影可能だった。

「これが例の品か」
「そうといえばそうね、でも私達にとっては大切な物なの」
キースは無断でそれに触れるが、名前は大らかで怒りやしなかった。彼は彼女の持ち物を欲しがったが、彼女はそれを譲る気にはなれなかった。だが彼女はあまりにもキースやロイド達が可哀想な立場にあったので代わりに何か価値のある物を与えても良かった。それも政治に使える権力の代用になったり援助になれる物を。

「あなたのお仕事は手伝いけれど、宰相さんも楽じゃないでしょう」
「楽じゃないを通り越して、最近は皆ピリピリしている」
「そうね、だってもう直ぐ本格的に戦が始まるもの」
予感がした。キースの内で。彼は無口を守るけれど本音は怒りと不穏な社会への鬱憤。遠くからまだ試運転中のドラケンが舞ってくると、戦いに向けて走り出す時の流れに苛立ちが募る。歌は歌で、自分は自分、敵の歌に洗脳はされないけれど、この生活に愛情など見出せない。彼は名前の瞳が勝気になると、彼女が自ら立って可変戦闘機が飛んで来た方角を眺めたので、彼女にも勝敗への意見があるのかと驚いた。音楽が勇ましく鳴り出し、もう直ぐグラミア国王も出てくる。名前はキースの方へ振り向いて言う:

「あなたの風が、王国が、負けると思います?これからブリージンガル球状星団を支配しようと目論む連中の本当の正当性が問われるのです」
ほくそ笑む少女は風に髪が靡くと、若き騎士に尊敬の念を込めて発言した。彼女の背後には紋章を塗った沢山の式典で使用するための家具が並べられていたが、彼は未だにこの胸に自尊心があったのに気付いて負けられないと信じた。まだ戦いは始まったばかりで、戦乙女はこちらへと向かって来てはいない。
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