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ただの元クラスメイト、それだけ。
そこから抜け出したいけど、私はここでいい。だって、志波君ってホラ、ぶ、部活で忙しそうだし?休みの日も筋トレしてるらしいし?
好きですなんて、好きだから元クラスメイトから彼女にして下さいなんて、絶対言えない!
ああ、だって志波君はただでさえ無口で無愛想だから、もし迷惑と思われたり、いつもの低いテンションで「ごめん」なんて言われたら私、立ち直れない。
心臓全部一ミリも残らず傷付いて、もう学校に来れなくなっちゃう!

―キーンコンカーンコーン

午後の授業開始を伝えるチャイムが、校内に響き渡っていた。

「名前!うちC組行ってくるわ!先生来たらトイレ行っとるって言っといてや!」

「え?」

C組。その単語に私の心臓は大きく反応する。C組・・・それは、あの志波君が在籍するクラス。まるで外国みたいに遠い、たった3っつ隣の教室。
はるひは今から授業が始まるというのに、慌てた様子でドアへ向かって走り出した。

「はるひ?何しに行くの?!」

「教科書忘れとった、借りてくる!今日テスト範囲出るらしいで!」

「へーまじ」

はるひは勢いよく教室から飛び出した。先生が来るまでに戻って来れればいいんだけど。

「C組、か・・・」

会いたいな、顔が見たいな、声が聞きたいな。その目に見られなくても、話しかけられなくてもいいから、会いたいな。
告白なんて現実的じゃない。そんな切っ掛けも接点もない。ただの元クラスメイト。ああ、この想いをほっとけば、いつかは忘れるのかな?志波君の事。

(はあ・・・・テスト、かあ)

それより、はあ。そろそろテストか、嫌だなあ。
・・・・。
・・・・・ん?

「テスト?」

そのテストと言う単語に、私の低レベルな計画が練られていく。テスト、テスト、テスト。
志波君って理系はまあまあだけど、文系は全然なんだよね。ハリーと一緒によく補習受けてるよなあ・・・。
もし私、今回のテストで赤点取れば、放課後の補習、一緒に受けられるかも?!

(うあ、よくないよくない。よくないよお!)

私はテスト前、徹夜漬けで勉強するタイプ。こつこつ勉強するのが性に合わないので、前日に必死になってやる。
いつもは、それでなんとか赤点は免れてる。けど。





「だから、今夜は勉強しなければいいのよ!おやすみなさ〜い」

今夜はテスト前夜。
徹夜漬けしなければ、いつもどおり普通に寝てしまえば・・・テストで赤点とれるわけだ。ああ、恋って恐ろしい。志波君って恐ろしい〜。
もちろん、勉強をしなかった私は今回、成績発表でいつもより低い順位を見る事になる。