novel | ナノ

管理塔は大きなガラスビル、というイメージだった。

オフィスビルみたいにぜんぶスモークガラスでできているみたいで、なかはよく見えない。反射した太陽光がまぶしすぎて、私はきらきら光るビルから隣に立つトオイくんに視線を移した。


「…何の管理塔なの?」
「ラルースのすべてだよ」


トオイくんはじっとタワーを見つめていて、それはなんだかすこし悲しそうに見えた…気のせいかな。

もう一度管理塔を見上げた。空が澄み切ったように青々としていて、太陽は自信満々だ。なんとなく、旅人のコートを脱がせようとする風の神さまと太陽の神さまの話を思い出した。

小さいころは私も、そんなふうに神とか伝説とか呼ばれるポケモンたちに出会うことを楽しみにしてたような…もう覚えてないけど。


「ラルースの電子機器はすべて、大元はこの管理塔なんだ。だからここはいつも、厳重な警備態勢にあるんだよ」


トオイくんは両肩にプラスルとマイナンを乗っけたままつぶやくように言って、それからふっと私に視線を向けた。

それを感じて私も空からトオイくんに視線を向けたんだけど、太陽のせいで視界がちかちかしてしまった。


「……なまえ、アイス好き?」
「…何、急にどうしたの?」
「すぐそこにアイスの専門店があるんだ」
「ぷら!?」
「まーいま〜い!!」


ぴくっ、とトオイくんの両脇で耳を反応させた二匹は、まだ行くとは言ってもいないのに我先にとトオイくんの肩から飛び降りて、走っていってしまう。

それを止めるとでもなく笑って見送ったトオイくんは、返事もしてない私をうながした。


「僕たちも行こうよ。こっち」


ちょっとちょっと、私もうあんまり残金ないんですけど…!!
101204
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