novel | ナノ

トオイくんが猛特訓してくれたおかげで、私は練習3日目でついにスイスイと道を歩けるようになった。

初めて人並みに機械に触れられたのがうれしくて思わずはしゃいだら、プラスルとマイナンも喜んで一緒にはしゃぎまわってくれた。

初日にプラスルとマイナンがやってた遊びもやってみた。すこし走って先に行き、それから逆側にとび乗って、笑ってるトオイくんのとこまで帰ってくる。


「もうすっかりラルースの住人だね」


よかった、とトオイくんが自分のことみたいにうれしそうに言うから……何でそうしたのか自分でもわからないけど、思わずトオイくんの片手を取っていた。


「ん?」


どうしたの、って小首をかしげてトオイくんは私を見る。すこし私よりも上にある薄水色の目は、子どもみたいに純粋に光っている。


「……ん、何でもない」
「そう?」
「うん」


首を振ってうつむいて、衝動的に取った手を離したら、今度はその手が私を追いかけてきて、ぎゅっとつかんだ。

びっくりして顔を上げたら、トオイくんは笑っていた。


「せっかくだし、ラルースを散策しようよ」
「せっかく…?」
「うん、なまえが歩けるようになったお祝いに、管理塔らへんを案内してあげる」
「管理塔」
「ラルースでいちばん栄えてるところだよ」


私の返事も聞かずにトオイくんは走りだし、ちょうどさっきまでやってた遊びの影響で、反対側のコンベアにいたプラスルとマイナンが、あわてて後を追ってくる。

トオイくんは意外にも足が速くてびっくりした。足がもつれそう。

101203
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