novel | ナノ

信じたくない、信じられない。

だいたい、顔はきれいだけどさ、ツンツン立った青い髪がうさんくさいし。同い年の男の子にしては背が低いし。
だって私と目線がぴったりなんて、男子としてはかなり低い。間違ったことは言ってない!……たぶん。

私は恐る恐る、見知らぬ少年に攻撃に出た。


「…ねぇきみ、そんな冗談やめちゃいなよ。ほんとのこと言ったほうが楽になれるよ、私もきみも」
「だから、さっきからほんとのこと言ってるだろ。オレはシャワーズ。なまえのシャワーズだよ」


苛立ったようにそいつは繰り返した。

ああうん、シャワーズ。シャワーズね、私の相棒の。もちろん知ってるよ。だって、昨日あまりにも暑かったから、一緒に寝よ、って私がベッドに引きずり込んだんだもん。


「……」
「……」


場を沈黙が満たした。そんな、まさか。でも符号は一致してしまう。だって一緒に寝たはずのシャワーズが見当たらない。

しんとした部屋には、すがすがしい朝の光が差し込んでる。なのに、私は未だパジャマのままベッドの上で、見知らぬ少年と見つめ合ってる。

ものすごいへんな光景だ。なんだかよく考えてみると、気持ち悪い。シャワーズが同年代だなんて知らなかったよー、とかどうでもいいことを考えてみる。…笑えない。


「……本気で言ってる……んだよね」


嘘を吐いてるようには見えないし。私が、認めたくないだけ…?あわわ、何てことに。


「何いまさら驚いてんのか分かんねー。前にだってあっただろ、こういうこと」
「前…?」
「オレがまだイーブイだったころに。旅に出たばっかで、お前、淋しくて泣いてた夜にだよ」
「………すいマセン覚えてマセン」
「おい」


ちょっと呆れたように天を仰いだ少年は、気付けば、はっとするくらい美形だ。

ななな、なんで私、見知らぬ不法家宅侵入者、しかも乙女のベッドに潜り込んでたよーなやつにどきどきしてるんだ。

これじゃ私も変態じゃないかっ!


「し、信じられないよ!だって、じゃあ何、私のシャワーズは人型になれるって?何でよ。じゃあ何で今まではさっぱりそんな気配も見せなかったのに、今の今になって人型化してんの?おかしいよ!」


認めないんだからッ!と言いたいことすべて叫んで、呆気に取られたような彼に、勝った、と思うのもつかの間。

彼は、突き付けられた私の人差し指を唐突につかんで、反応が遅れた私の顔に、自分の顔をぐっと近付けて。


「なまえが知りたいなら、なんでも教えてやるよ?」


視界いっぱいの、見慣れない美形が、不敵に笑ってささやいた。

そりゃあもう、もう二度と同い年だなんて思えないような突然の色香に、私は叫び声を上げてやつを張り倒しましたとも。








(カムバック私の平穏な日常!!)






……
一度やってみたかったシャワーズ擬人化シリーズ。
構造は収束しないものの、ネタだけはいっぱいあったりします。
まあこちらは非メインのシリーズなので、気ままに連載していきます。更新は不定期。
よろしくお願いします。


20100726
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