「タッツミー、機嫌はどうだい?」
やたら陽気な調子で声をかけられたかと思ったら手をとられ腰をとられ、身を寄せられて一緒にくるくるとターンをさせられた。社交ダンスみたいにというか、まあ、これは完全にダンスだ。
「お前は機嫌よさそうだね」
つかまれた右手は離させたものの腰を抱く腕は身をよじっても緩む気配がなく、至近距離でジーノの顔を見つめた。喜びを抑えきれない、みたいな感じでニコニコと満面の笑顔である。
「僕はタッツミーさえいれば上機嫌だよ!」
「フットボールのこと忘れてないか?」
「やだなあ、タッツミーとフットボールは別次元の話だから並べたりしないよ」
「ああそう・・・」
目元や耳や首筋にキスを落とされるのに肩をすくめつつ、俺は腰を抱く腕を無理矢理はがした。ジーノとの距離を開けると、「なんで?」と不思議そうに首を傾げて聞いてくる。
「俺忙しいから」
「なにそれ、僕のことより仕事のほうが大事だってわけかい?」
「・・・それって比べるもんじゃないでしょ」
「駄目だよそんなの。ちゃんと答えて」
さっきまでの上機嫌はどこへやら、ムッとした表情のジーノに思わずため息が出そうになる。
「お前さっき自分がなんて言ってたか覚えてる?」
「なんのこと」
それって本気なの?と聞いたらよけい機嫌悪くなりそうだなあと思うと、ため息を我慢することができなかった。駄目だこいつ。










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