「パッカお前、まだ彼女できてないのか」
十年振りの再会で、最初の一言がそれってどうなんだよ。十年前と全く変わらない、デリカシーのない言葉を発した達海にムッとした。いや彼女とか特定の女作るなんて面倒くさいし、と言い訳じみたことを伝えると意地の悪そうな顔でニヤニヤされた。そもそもそんなことを気にするだなんて大きなお世話だと、これは心の中でだけ思う。
「しかし変わんないねー」
誰を相手に言ってるんだとツッコむと、「あはー、そうね」と笑顔が返ってくる。言わせてもらうのならば、そういう達海の方こそ十年前となにも変わっていなかった。筋肉が落ちて細くなっただとか顔がほんのちょっとだけ老けただとかいう変化は些細なものである。それがまたこ憎らしい。
「じゃーまたね」
たいした話もしないうちに、達海はグラウンドに出て行ってしまう。相も変わらぬマイペースぶりだったが、それが嫌ではなかった。「またね」という言葉が上辺だけのものではなく、至極現実的なものだということがわかっていたからなのかもしれない。先程の達海の笑顔を思い出し、つい、ひとりでにやけてしまった。








title by カカリア
20101016


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