企画 | ナノ
Break!
赤崎くんから貰ったのはお菓子じゃなくてゴミでした。
やり場の無い怒りを壁にぶつけていると、声を掛けられた。
「悠莉ちゃん?」
「…世良くん」
今は誰とも会いたくなかったけど、優しい世良くんが救世主に見える。
私が事情を話すと、世良くんは笑顔で。
「だったら俺がお菓子あげるよ!」
と言って、元気良くカバンの中を探り始めた。
さっきの赤崎くんとは全然違う。
人の優しさがこんなに身に沁みるのは初めてだ。
「はい!」
包み紙に入った飴玉を一つ渡される。
「ありが…、!?」
私はそれを手にした瞬間、思わず固まった。
「悠莉ちゃん、どうかした?」
開けなくても中身が袋に張り付いていると分かる。
賞味期限を見てみると二年前の日付だった。
「私、もしかして皆に嫌われてる…?」
「そんなことないよ! 少なくとも俺は好…っ、あ、今のナシ!」
まさかの世良くんに止めを刺される。
この裏切りはかなりのダメージだ。