妹変 | ナノ
素晴らしき日々!!
「ナグルファールの船ー越えていくーはずー♪」
鼻唄にしては大き過ぎるボリューム。
鏡花がこうなるのは、よほど良いゲームに巡り会った時だ。
「今は何てゲームやってんの?」
正直なところ興味はない。
だけど俺も兄貴として妹に歩み寄らないとな!
ご機嫌な時の鏡花なら普段ほど交流は難しくない。
だから今は絆を深めるチャンスだ。
「スパイラルマタイゲー」
「……え?」
今、何かの呪文を言われた?
「あ、やっぱり救世主ゲーかな」
こんなに妹を本気で心配したことは今だかつてない。
ってくらい、危なそうな単語が飛び交う。
スパイラルマタイ? 救世主?
ついに宗教にでもハマッたんだろうか。
「北●南さんキャラはホント最高だなー」
あ、大丈夫だ。
前に聞いたことのある名前が出てきた。
「特に2章が最高!あの電波感こそがケ●Qの真髄!」
「で…電波?」
「そうだよ。兄さんもやる?」
いつになく出てくる単語が不穏だ。
一体、俺の妹はどこに行ってしまうんだろう。
「エロは特殊すぎて使えないのが多いかもだけど…」
「やらないからっ!!」
鏡花との交流は成功したのか失敗したのか分からない。
いつものことだけど。