妹変 | ナノ
会わすな危険


ピンチだ。


「なに固まってんスか、世良さん」


かつてないほどのピンチだ。


「自分の家でしょ」


生意気な後輩の言う通り、ここは俺の家だ。
だからこそマズイ。


鏡花は絶対に家に居る。
今日もリビングで趣味のゲームをやっているだろう。


それは別にいい。
いつものことだし赤崎も知ってる。


問題は、妹と赤崎を会わせたらどうなるかってことだ。


鏡花が赤崎みたいな男と喋ってるの見たことないけどヤバイ気がする。
そう俺の本能が告げている。


「やっぱ今日はやめとかね?」

「ここまで来といて何言ってんスか」


俺の案は即座に却下される。
もう逃げ場はない。


何でこんな事になったかとかは一先ず置いとく。
今は二人の遭遇回避に全力を注ごう。


「ちょっと準備あるから待ってて!」


客人に失礼だがそこは先輩特権だ。
俺は乱暴に靴を脱いでリビングへと駆ける。


「私もほたるちゃん大好き!はやみちゃんより好き!」


案の定、ハイテンションでゲームをする妹が居た。


「鏡花!あのな…」

「がんもどき、がんもどき!」

「おい聞けって…!」


いつになく大はしゃぎする妹。
くそ、何で今日なんだよ!


「マジで緊急事態なんだって!」


鏡花の肩を掴んで無理やりこっちを向かせる。
それで初めて鏡花の瞳が俺を映す。


驚きが滲んだその瞳はもう一人も映していた。


「それが変態の妹ッスか?」


入り口で待っているはずの後輩の声が聞こえる。
失礼を失礼で返された気分だ。


「誰このリア充そうな人」


俺越しに赤崎を睨みつける妹。
負けずに睨み返す赤崎。


初対面でこの雰囲気。
俺の予感は正しかったみたいだ。


この二人は会わせちゃいけなかった。



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