妹変 | ナノ
中にいるのは誰ですか?
「鏡花は将来何になるんだ?」
毎日ろくに学校にも行かず、妙なゲームをプレイする妹。
ちゃんと将来のプランはあるんだろうか。
「24時間自宅警備員になります」
「それじゃダメだろ」
「ダメじゃない。現に勤めを全うしてる」
「だからそれがダメなんだって」
「…明日から本気出す」
どこかで聞いたような台詞を吐く妹。
このままじゃダメだ。
「もう高3だろ。今の内からちゃんと考えとかないと!」
「………」
「ゲームが好きならゲーム関係の仕事に就くとか」
「………」
「好きなコトを仕事に出来るように頑張れば良いだろ?」
ソファーに寝転がっていた鏡花が身体を起こして俺を睨む。
妙な迫力に少し怯む。
「な、なに…」
「うるさい」
その四文字にはっきりと怒気が込められていた。
(この話題ってもしかして地雷だったのか…!?)
いや、怒るってことは鏡花も気にしてはいるって事だよな。
焦ってるってことなんだよな。
よし、ここが兄貴としての力の見せ所…!
「兄さんだって、めだかちゃんに出会わなければグレたままだった」
鏡花がクッションを抱いて不貞腐れたように呟く。
しかも衝撃の発言だ。
「めだかちゃんって誰…?」
「兄さん、昔は剣道少年だったって言ってたくせに」
「いや言ってないよ俺!?」
「言ってた。兄さんと同じ声だった」
「それジャ●プの方の別の人!」
上手く話を逸らされたと気付くのは、それからしばらく経ってからだった。