妹変 | ナノ
私は星になりたい


「かのんちゃーん!!」


ここ二日くらい、鏡花はゲームもせずにアニメを見ている。
鏡花が好きそうな可愛い女の子が出てるアニメだ。


だから意外ってほどでもない。だけど兄としては複雑だ。


「鏡花、それ何回見るの?」


ピンク髪の子のコンサートをもう何回見ただろう。
刷り込みで俺まで歌が完璧に歌えるようになりそうだ。


「回数制限はないよ」

「いつものゲームはどうしたんだよ?」

「今はかのんちゃんがタイムリーなの!」


そう断言すると、再びテレビに向き直る妹。


「はいっ!はいっ!」


鏡花はテレビの女の子の動きに合わせて掛け声を出す。
せめて歌えよと心の中で突っ込むが、あくまで観客役らしい。


「今までアイドル属性って眼中になかったんだけど」


鏡花がぽつりと語り出す。
俺への説明だと思って慌てて耳を傾ける。


「いや、属性で言うとやっぱりそんなに好きじゃないんだけど」

「そうなの?」

「処女信仰に応えないといけない点で厄介だよね」


何か不穏な単語が出てきた上に、しかも分かんない。


「なかのーん!!」


鏡花が叫びと共に腕を振り上げる。


もしかして、これで話し終了なの!?
めっちゃ中途半端なんだけど!
なんか微妙に続きが気になるんだけど!


「あの…鏡花?」

「かのんちゃんは最高のアイドル!」


俺との会話を強制的に終わらせて、二次元のアイドルに熱狂する妹。


俺はもう一度テレビの画面を見つめる。
鏡花と同じ気持ちにはなれそうもなかった。



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