妹変 | ナノ
そこは不思議の国でした。
「到着ー!」
階段を登り地上に出ると鏡花は大きく両手を広げた。
兄として恥ずかしかったが、通行人は誰も気にしてないみたいだ。
「これくらいで驚いてちゃダメだよ」
俺の様子に気付いた鏡花が振り返る。
何故か誇らしげな笑顔だ。
「ここは某夢の国以上に夢の街だからね」
その時はよく意味が分からなかった。
でも、後で嫌ってほど実感する事になるのはまた別の話。
「まずはアニ●イトに行こう。ペーパー欲しい新刊あるし」
また俺には意味の分からない単語。
取りあえず頷いて鏡花の後をついて行く。
平日で午前の早い時間だってのに、色んな人とすれ違う。
あと、急に立ち止まったりするのも普通みたいだ。
それを誰も気にすることなく、自分の目的地に向かって歩いていく。
(なんか不思議な街だな…)
テレビで見るともっと賑やかに見えるんだけどな。
映ってる場所とここは違うんだろうか。
「あ、新しいガチャポン出てる!」
鏡花が大声を出して立ち止まる。
どうやら第一の目的地に着いたようだ。