妹変 | ナノ
長い一日のはじまり
テストで頑張った妹にご褒美を買ってやる約束をした。
今日はそれを買いに秋葉原まで行く。
「秋葉原ってJRだっけ?」
「それは素人の考えだよ」
隣を歩く鏡花が不機嫌そうにムッとする。
確かに、秋葉原なんて行くのは初めてだ。
ここは毎週行ってるっぽい上級者に従っとこう。
「オタクなら、秋葉原には銀座線で行く!」
「銀座線に秋葉原って駅あった?」
「末広町駅で降りるの。すぐオタク通りに出られるよ」
目を輝かせて語る妹。
兄としてどう反応すればいいのか分からない。
「兄さん、もうちょっと速く歩いて」
ぼーっとしてたら鏡花に腕を引っ張られる。
と言うより、腕に抱きつかれた。
鏡花は頬を膨らまして上目遣いで俺を見てくる。
(うわ、これって恋人みたいじゃね…!?)
いつもより可愛く見える妹の大胆な行動に動揺する。
だ、だめだ。
もっと兄貴らしくしないと…!
「可愛いヒロイン達が待ってるんだから!」
「う、うん…」
その台詞に安心したような、ちょっと寂しいような。
(あれ、そう言えば…)
鏡花と出掛けるなんてどれくらい振りだろう。
いつになくはしゃいでいる鏡花を見ながらそんな事を思った。