妹変 | ナノ
俺の嫁ロワイヤル!?
変なのは百も承知だ。
それでも俺は妹に歩み寄ることにしたんだ。
「鏡花はどんな女の子が好きなの?」
年頃の女の子にする質問じゃ絶対ない。
自分で言って悲しくなる。
けど、これなら鏡花も興味を示してくれるはず!
「…兄さん…」
「え、は…はい?」
なのに鏡花から恐ろしいオーラが発せられる。
土下座して謝りたくなるくらい怖い。
「兄さんは勘違いしてる…」
俯いたままの鏡花からそんな言葉が聞こえる。
「に、二次元のってつけなかったから…?」
「そーじゃない!」
鏡花が顔を上げて叫ぶ。やばい。目が本気だ。
「私は黒髪大和撫子系お嬢様、幼馴染属性が好き…」
やたら長いから呪文に聞こえる。
さっぱり理解は出来ないが、迫力に負けて頷いてしまう。
「それが最高の設定だと思ってる。でもね」
「う、うん…」
「ヒロイン達はそんな設定とか属性なんて越えてくるんだよ!」
俺は間違った方向にスイッチを入れてしまったらしい。
「ドジっ子でピンク髪の子に萌える時もある!」
「オドオドな静琉ちゃんに萌え、学園理事モードにも萌える!」
ああ、分からない。
画面の中の人物にそこまで感情移入できることが。
そしてソレについて本気で語る鏡花の感覚が。
「だから理想の女の子像は固定じゃないっ!」
「…ごめんなさい」
どうやって話しかけるのが正解なんだ。
妹の熱弁を聞きながら涙が出そうになった。