妹変 | ナノ
エスケープキー


兄さん、どうしたんだろ。


家を出てくまではいつも通りに見えたのに。
帰ってきたら何か様子が変だった。


(怒ったのかな…)


八つ当たりしてしまったことを少し反省する。
兄さんに甘えすぎたかもしれない。


(っていうか!元はと言えばあの人!)


赤だか青だかって名前の人。
あの人さえ来なければこんなことにはならなかった。


「何なの…あの人…」


兄さんに返してもらった携帯電話をぎゅっと握る。


冷たい機体に自分の体温が奪われていく。
それは数時間前と同じ感覚。


(あの人の手、冷たかった)


兄さんの手はいつもあったかい。
だから男の人の手はみんな温かいんだと思ってた。
よく考えたらそんなワケないのに。


(って、なにこの展開!私のキャラじゃない!)


恥ずかしい乙女思考をシャットダウンする。
ゲームのヒロインならこんなキャラもアリだけど、私には合わない。


二次元の美少女に萌えるオタク。
私にはやっぱりコレだ。


「さてと。ゲームやらなきゃ」


あの人の妨害で中断してしまったゲームを再起動する。
おなじみのナレショーンを聞いて少しだけ冷静になれた。


「コンティニュー、っと…」


途中で強制終了してしまった時も安心の機能がある。
セーブしてなくても前回の続きから始められるコンティニュー機能だ。


こういうゲームはありとあらゆる状況に対応できるよう作られてる。
エスケープキーを始めとする様々なごまかし機能。


私には必要のないものだと思ってたのに。




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