妹変 | ナノ
私的・敵現実


「世良さんがオタクって噂さあ、本当なの?」


どうしてこの人達は懲りないんだろう。
空気嫁という覚えたてのスラングを脳内で使用してみる。


目の前で人を見下したように笑う人達がただ不快。
私の滑稽な努力は、彼女達にとってネタの一つでしかなかったようだ。


「で、どーなの?」


サイン云々の時より幾分、高圧的な態度で迫られる。
相手をしている時間が勿体ないと判断した私は席を立った。


その行動についてはもちろん批判の言葉が浴びせられる。
だけど差し当たって私が考えるべきことは、もっと根本的な解決の方法だ。


(どうしたものかな…)


ただオタクというだけでは押しが弱い。
でも、私はこの趣味に天性のものとしか言い様がない適性を感じていた。


(アニメオタクよりもう一段階上のオタクを目指すとか?)


そんなものあるんだろうか。
フィギュアを集めるとか、そんな感じだろうか。


乏しい知識を少しでも豊かにしようと、今日もネットを徘徊する。
必要な情報を自分の裁量で取得できるこれはやはり良い。


そして、とある画像掲示板でマウスをクリックする手が止まった。


「18禁…かあ…」


自分の中にある良心と常識がそれだけは食い止めていた。
だけど、何をしても諦めない彼女達に対抗するにはこれしかないと思った。


そこまで状況が切迫してたワケじゃないけど、年相応の好奇心が後押しした。
それが全ての始まりで、終わりだった。


18禁の世界はとても幅広かった。


残りの人生をつぎ込んでも全ての把握は不可能だと思うくらいに。
そして掛けてもいいというくらい、私は興味を持って行かれた。


だって人間のロマンが全てそこにあるような気がしたから。


最終的に辿り着く場所は同じなのに、そこに辿り着くには何通りも方法がある。
数学で計算式を解くのが楽しいと感じるのと同じように楽しい。


中でも可愛い女の子が告白してくれる美少女ゲームは最高だった。


画面の中の女の子はこんな私を受け入れてくれる。
こんな私だけど、そのままでいいと言ってくれる。


ゲームの中は居心地が良すぎてどっぷりとハマってしまった。


学校では美少女の下敷きを見つめて過ごすことで初めて防衛に成功。
カバンの中にエロゲのチラシを忍ばせることで効力アップ。


それにより、クラスメート達は自分に無害なものをつつくことが判明。
ひとたび自分達に有害となれば無関係を貫く。


その習性は私には有り難かった。私はまず一つ目の目標を遂げられたんだ。




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