portrait | ナノ
2日目
何があったわけでもなく翌日の朝。
朝食を済まして、お互い出掛ける支度をする。
「達海さんはどこに行くんですか?」
「ま、適当にね」
予定なんて俺には無い。
ただ思うままに世界を歩き回るだけだ。
昨日はそうしてふゆにも会った。
何てことない出会いだ。旅には付き物の小さな出会い。
「それじゃあ、良い旅を」
「ふゆもね」
だからスッキリ別れられる…と思ったんだけどな。
ふゆが振り返って、ずっと後をついて行く俺を見る。
やっぱり不審に思われてるみたいだ。
「あの…?」
「俺もこっちに用があるから」
そう言って、またふゆの後について行く。
ふゆは終始居心地が悪そうだった。
(俺も日本が懐かしいとか? だとしたら女々しいなー)