portrait | ナノ
Answer
ふゆと出会ってから五年。
途中で止めてた道をまた歩き出した。
後押しされたんだか、突き放されたんだか。
あの時はよく分からなかった。
ふゆに景色を見せてやってから五日。
逆の立場になってようやく分かった。
あの時、ふゆがああするしかなかったってことに。
二人で一緒に居る為には、二人が同じものを見てないといけない。
片方だけが夢を追ってちゃダメなんだ。
あの別れがあったから今がある、なんて言うつもりはない。
だけど必要なものではあった。
今ならそう思える。
「達海さん…!」
ふゆが俺を見つけて駆け寄ってくる。
充実感に溢れた、今までに見せたことのない笑顔だ。
おせーよ。
心の中でそう呟くが、口には出さずにふゆに歩み寄る。
これがコイツなりの全速力だったんだろう。
それが分かってるから、余計なことはもう言わない。
多分お互いに初めての本気の恋で、色々手間どった。
いい歳してガキより不器用な恋愛だった。
それが俺達の速度で、今やっとゴールが見えてきたのなら。
「これからどーすんの?」
俺達に今必要なのはその答えだけだ。
ふゆが出した答えを聞きたい。
俺の答えは五年前から変わってないぜ?
俺は、お前とずっと一緒にいたい。