portrait | ナノ
One day


ふゆと別れてから五年。
俺は日本でETUの監督をやってる。


今かなりの有名人のはずなんだけど、ふゆはやって来ない。
アイツまだ海外に居るのか?
だとしたら知らないのも無理はないんだけど。


(…そろそろコッチから動くかー)


今日の練習メニューが終わり、伸びをしたその時だった。


「今日もいたのかよ?」

「毎日いるだろ」

「また居たんスか?」


上から黒田に杉江、赤崎。


珍しい組み合わせで何だか面白そうな話しだ。
俺は気配を殺して近寄って行った。


「何の話しですか?」


そこに椿が加わる。すると世良が元気に答えた。


「雷門を毎日熱心に眺めてる女の子の話!」

「雷門…?」


不審がる椿に黒田が頷く。


「おう。何でも朝から晩まで飽きずに眺めてるらしい」

「…変わった人ですね」


俺の頭の中に一人の人物が浮かぶ。
ちょうど探そうと思ってたヤツ。
ソイツも確か、そんなよーな変なヤツだった。


「でもルックスは良いッスよね」


赤崎のその言葉で、予感は確信に代わった。


「その話さ」


俺が話しかけると何故か選手達が固まる。
だけどそれを気にしてる余裕はない。


「今の話って本当?」

「こんな作り話したってしょうがないでしょ」


赤崎の言うことはもっともだ。
そもそも俺以外のヤツが、そんな作り話を思いつく訳がない。


古鳥 ふゆに実際に会った事のある、俺以外には。


「そーだな。サンキュ」


次の試合の対策は取りあえず後だ。
また逃げられたらたまらない。


五年振りの再会で、五年越しの想いだ。
今度こそ捕まえて放さない。



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