portrait | ナノ
未来へ繋ぐ
ふゆと別れてから何ヶ月か後。
数えてないから正確には分かんないけど、それくらい。
俺はイングランドのある町にいた。
特に目的があった訳でもなく、ただ気ままに歩いてただけだ。
そうは言っても、前の俺と同じじゃない。
「この街は気に入ったかね?」
突っ立っていると知らないじーさんに話しかけられる。
俺は改めて足元に広がる街を見た。
その中でもサッカーをしているヤツラが特に目に入る。
危なっかしくて、戦術なんてまるでなってない素人の動き。
だけど、すごく楽しそうにゲームしてる。
その姿に過去の風景を重ねた。
「うん、気に入った」
結局ここに戻ってくる。
俺の原点みたいなモンなんだろうか。
「前いた街に似てる」
途中までやりかけて止めていた道。
ふゆへと重なる未来への道は、ここから始まる。