portrait | ナノ
6.4日目
18時になってもベッドから出たくない。
不登校の子供か、俺は。
そうだ。年甲斐もなく駄々こねてるんだ。
そんなガキのワガママで、ふゆとの一日を無駄にした。
最後の一日だったのに。
「急すぎんだよ…何もかも…」
日本に居る頃からそうだった。
何もかもが目まぐるしく変わっていく。
俺を中心に回っているようでそうじゃない。
変わってるのは周りの方だ。俺じゃない。
俺はいつも取り残される方だ。
そして何時だって最後には失ってきた。
手に入りかけたところで何でも逃げていく。
今回も同じだ。
「出会わなけりゃー良かったかもな…」
そうすればこんな思いはしなかった。
充実した数日間も無かっただろうけど。
ただ街をぶらつくだけの毎日。
俺が前までやってた生活と同じだ。
それなのに、それだけなのにふゆは楽しそうだった。
だから俺も楽しかったんだ。
お互いの事を知らなくても。語らなくても。
ふゆが俺を受け入れてくれたから。
「やっぱり手放せねーよ」
散々時間ムダにして出した答え。
俺はふゆの居るリビングに向かった。