Kiss me, Darling! | ナノ
答え合わせみたいに
「どうして私なの?」
肩越しに恭平くんに問い掛ける。
「何で私なんか選んだの?」
恭平くんならきっと、もっと良い人がいっぱい居る。
私を選ぶ理由なんて無い気がする。
「俺には理乃ちゃんしかいない」
肩越しに、はっきりとした言葉が聞こえる。
まるで最初から決まってたみたいに。
私が聞くって分かってたみたいに、強い言葉だった。
「上手く説明できないから、それしか言えないけど」
なのに即答で断言なんだ。
本当にこの人の天然っぷりには困らされる。
そんな事を思っていると、抱きしめられる力が強くなる。
「理乃ちゃんはいつも俺から逃げようとするけど、手放すなんて無理だから!」
逃げようとしてるって気付いてたんだ。
いや、流石に気付くかな。
それでも一緒に居てくれるんだ。
「…うん」
結局は私も同じ。
逃げられないんじゃない。
私もこの人を手放せないんだ。