Kiss me, Darling! | ナノ
Hurry up, Darling!


朝。
テレビではニュースがかかっている。
芸能方面だ。


「この人も結婚かぁ…」

「…………」

「あ、この人って恭平くんと同い年だね」


しらじらしく言う理乃ちゃん。
俺は無言で聞き流す。


「恭平くん?」

「…理乃ちゃんはそいつが好きなの?」

「別に。ドラマとか見ないし」


淡々とそう答えて食パンを口に運ぶ理乃ちゃん。


分かってる。
理乃ちゃんが言いたいのは別のことだ。


最近は特に口うるさく言われている。
次の言葉は予想できてる。


「恭平くんもそろそろ身を固めないとねー」

「…………」

「いい歳なんだから」

「…………」


俺はもう26だ。
理乃ちゃんだけじゃなく、周りからも同じことを言われる機会が増えた。
家族からだって言われる。


だけど。
俺にとって問題なのは、彼女のはずの理乃ちゃんにそんな事を言われるってとこだ。
これは勿論『だから私と結婚しよう』なんて意図で言われているものじゃない。


「キャバクラでも行って、いい女の子捕まえてきたら?」

「ファンの子だっているでしょ?手を出してみても良いんじゃない?」


これを本気で言ってるから困る。


「どうしてそんなこと言うの!俺の恋人は理乃ちゃんでしょ!?」

「今はそうだけど、いつまでもこのままって訳にはいかないし」

「そうだけど…そうじゃなくてっ!」


出会った時から、現実的なところは変わらない。
どこか冷めてるって言うか……。


「…このやり取り、もう何回目だろうね」


溜息混じりにそう言われる。
本当に呆れたように言うから、結構ダメージも大きい。


「とにかく、もうこの話はしないで」

「…ちゃんと考えなきゃダメだよ?」

「考えてるから!」


思わず声が大きくなってしまう。
理乃ちゃんは少し驚いているようだった。


悪いとは思ったけど謝れない。
ここだけは譲れない。


俺だってちゃんと考えてるんだ。


ただ、もう少しだけ時間が必要なんだ。
考えてはいるけど、実行に移せないだけなんだ。







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