Kiss me, Darling! | ナノ
誓うよ


はやく明日になれって思ってみたり。
今日がいつまでも続けって思ってみたり。


そんなことを思う自分を持て余していたりする。


「理乃ちゃん、卒業おめでとー!」

「…ありがと」


今日は大学の卒業式があった。
それがちょうど恭平くんの休みの日と当たったらしい。
何故か恭平くんの部屋で祝われている。


「プレゼント用意するからちょっと待ってて!」


バタバタと台所の方へ消えていく恭平くん。
出会った頃と同じハイテンション。


それとは反対に、私のテンションは上がらない。
私はつくづく境目と言うものが苦手らしい。
余計な事をいっぱい考えてしまう。


6歳差とか、大人と子どもとか、一般人とプロ選手とか。


「…はぁ……」


恭平くんと一緒に居るってやっぱり無謀なことだよね。
それでも居るって決めたけれど、今日みたいな日は弱気になる。


「理乃ちゃん、お待たせ!」


私の気も全く知らず、元気な恭平くんが戻ってくる。


あれ。
プレゼントとか言ってたのに、何も持ってない。


「あのね理乃ちゃん」

「…なに?」

「もう一回言うから、返事ちょうだい」


どうしよう、予想がつく。
鼓動が早くなって頭が真っ白になる。


恭平くんしか見えなくなる。


「俺と結婚して下さい」


言葉と一緒に、小さな箱を差し出される。
それがこんなにも嬉しいなんて。


さっきまでの不安が吹き飛ぶ。
恭平くんの一言で、いつも。


「……はい」


6歳差とか、大人と子どもとか、一般人とプロ選手とか。
私が恭平くんを好きなことに関係ないね。


「謹んでお受けします」


二人の関係にどんな名前がついたって。


君をいつまでも愛し続けること、誓うよ。




Fin.



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