Kiss me, Darling! | ナノ
Kiss me, Darling!


「大学卒業したら、俺と結婚しない?」


私が苦手な、だけど大好きな真剣な目。
それを冗談だと思えるほどの余裕は私にない。


私は子どもだからダメ。相応しくない。
そう思っていたはずなのに、実際に言われるとダメだ。
心が揺れてしまう。


今の関係のままが良いとは思わない。
けど、これ以外の関係になるのは怖い。


それが例え、今以上でも。


「…働きたくないって言ってるでしょ」


結局、私は逃げてしまう。
こう言うところが子どもなんだ。


「だから俺のお嫁さんに…」

「会社勤めよりも大変だよ、そんなの」

「冗談じゃなくて!」


いつもの流れになりそうな所を断ち切られる。


「真剣に考えて欲しい」

「…本気なの?」

「冗談でこんなこと言わない」


そういう人だって知ってる。


ケンカをすれば、仲直りしようと努力してくれる。
いつだって距離を埋めようとしてくれる。
こんな私をありのまま受けとめて、好きだと言ってくれる。


素直じゃない私を必ず捕まえてくれるって、知ってる。


どんなに逃げても恭平くんからは逃げられない。
だって、本気で逃げる気なんて無いんだから。


いつだって怖がってるだけだよ。
だからね。


「キスしてくれたら、捕まってあげる」


向き合う勇気を優しくちょうだい。





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テーマ「人外ファンタジー」
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