Kiss me, Darling! | ナノ
CHANGE MY WORLD
理乃ちゃんが家に来てくれた。
だけど、ずっと雑誌と睨めっこしている。
「理乃ちゃん、どうかした?」
「進路どうしようかな…って」
就職活動って大学3年生から始まるんだっけ。
じゃあ読んでる雑誌は就職系のヤツか。
そう思ったら一気に鼓動が早くなる。
…落ち着け、俺。
「理乃ちゃんは何かしたいことがあるの?」
「特にないかな。と言うより、出来れば働きたくない」
ニートだ。ニート思考の子がここに居る。
「理乃ちゃんは読書好きだったよね。出版関係とかは?」
「うーん……」
一応の可能性を提示してみる。
それを渋る理乃ちゃんに本音が押さえられなくなる。
言うなら今しかない。
大人になんてなれるワケないだろ。
大好きな女の子の前なんだ。
周りから急かされてるとか、理乃ちゃんがすぐ逃げようとするとか。
そんなこと関係ない。
全部を手に入れたいのなんて、当たり前だ。
「だったらさ…」
ずっと言いたかった言葉。
それだけがやたら鮮明に浮かんで、他は真っ白になる。
世界が俺と理乃ちゃんだけになる。
「大学卒業したら、俺と結婚しない?」
だからどうか頷いて。