短編 | ナノ
おまじないと言えば


「おまじないと言えば、恭平くんは携帯のおまじない知ってる?」


俺の家に遊びに来た理乃ちゃんがそんなことを言い出した。
…前回のようなことじゃなくて良かった。


「携帯のおまじない?」

「けっこー有名な話だよ」


そんなの聞いたことがない。
女の子の間では流行っているんだろうか。

考え込む俺を見て、理乃ちゃんはからかうように笑う。


「33322」

「…へ?」

「これが携帯のおまじないなんだって」


聞いたことのない数字の羅列。
多分、考えたって俺の頭じゃ分かりっこない。
ポケットから携帯を取り出す。


「えーっと、333、22…だっけ?」

「うん」


その番号を入力して通話ボタンを押す。


『番号をお確かめになって、お掛け直しください…』


「何か駄目だったんだけど…」

「電話番号じゃないんじゃないかな」

「そっか」


メモ帳を開く。


「3、3、3、2、2…」


さっきと同じように、教えてもらった番号を押す。
すると、その五つの番号は二文字のひらがなに変わった。


『すき』


予測変換にはもっと具体的に出てきている。
まるで、それが勘違いじゃないと教えてくれているようだ。


「分かった?」


理乃ちゃんの意地悪な問いに答えるまであと3秒。





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