「腕が四本あったらなーとか思いませんか?」

天気の話をするくらいに自然に切り出されたのは、自然の摂理に思いっきり反した話だった。

「思わんわボケ。化けモンやないか」
「足も四本あったらなーとか思いませんか?」
「だから思わん言うとるやろ!」

強めに怒鳴ってやっても笑顔を崩さない。何でヘコまへんのやコイツ。

「足がもう二本あったらもっと速く走れますよ」
「それは俺が遅い言いたいんかお前」
「そうじゃなくて、やっぱり二足歩行より四足歩行ですよ」

容姿にコンプレックスがないのも考えものだ。
生まれ持った可愛いさを根こそぎドブに捨てるような提案を平気でしてくるヤツを目の前にすると本気でそう思う。

「お前の話はそもそもの前提がおかしいねん」
「そうですか?」
「自分で気付けや。人間逸脱しとるやろ」

速く話を終わらせたい俺は、だから話も破綻しとるとトドメの一言を付け足す。
それには流石に応えたようでがくっと床に膝をつく。

コイツ関西弁は喋らへんけどリアクションだけは関西人並みやな。

「逸脱も破綻もしてません!私は至って大真面目です!」
「畑、俺の代わりにコイツの相手したれや」
「嫌やわ。また新人類とかアホなこと言っとるんやろ」
「おいクボ、シムさん呼んで来たってや。このアホに付き合えるのはあの人くらいや」

面倒くさくなって畑に押し付けようとしたら前被害者だったことが判明した。
それでも相手をする気にはならないから近くにいたクボに救世主を呼ぶように頼む。

「二人して人のことアホってなんですか!?」
「クボタンに呼ばれて来たんだけど、どうかした?」
「志村さん聞いてください!あの二人がひどいんです!」

アイツがわんわんとシムさんに泣きつく。
それを受け止めるシムさんにも、アイツのアホさ加減にも呆れた。

「ほっといてええんかアレ。お前の恋人やろ」
「構わへん。ちょうどええ男よけや」
「いや、相手したれや」


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オチがない・似非関西弁・偽キャラと、駄作の三要素がきちっと揃ってますね。
片山さん動かすの難しいです。

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