「23」

また妹が何か変な事をしだした。しかも真顔で俺を見て。これはスルーできない。

「どーかした?」
「だから呼んでるの。23」

謎のフレーズを繰り返される。それを聞いて喚起されるような記憶も全くない。

「アニメかなんかの呪文?」
「違う」

えらくきっぱり否定されたがやっぱり思い当たる節はない。

「にじゅうさん?」

自分で言ってみる。疑問は増すばかりだ。うーんと首を捻る俺に対して妹は首を横に振った。

「ニイサン」

いつもの無表情からとんでもない爆弾が投下された。

「1、2、3。2、3」

中高時代の体育の授業を思わせる規則的なリズムが刻まれる。
俺の目の前で、俺を呼ぶ新たな手段として。

「なんかすっげーヤダ!ちゃんと呼べよ!」
「一度味わうと病み付きになるラクさ」
「ちょっとの手間だろ!?」
「そのちょっとが一番メンドくさい」

いいリズムを刻み続けたまま去ろうとする妹の背中を追った。


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23呼びは書き手にとってすごいラクです。世良さんの背番号が23だったら完璧だった。

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