好きって3回唱えたら。 | ナノ
名前の謎


俺の家を派手に壊して登場した自称魔女。
願いを3つ叶えてくれるらしい。


それが有難いのかどうかは一先ず置いておこう。


「名前聞いてもいい?」


目の前の少女(あ、魔女か)はそこで初めて気付いたようだ。
素で名乗るのを忘れていたらしい。


あっちの世界の常識って違うんだろうか。
それとも、初めての世界で戸惑っているだけだろうか。


二つの世界はどれくらい違うんだろう。




「碧海 夕月と申します」




…あれ?


雰囲気に流されそうになるけど、何か違くね?


「どうしました?」

「いや、もっと横文字的な名前だと思ったから…」


魔法使える子の名前がモロ日本名っておかしいだろ。


勝手なイメージだけど、横文字でミドルネームとかありそうじゃん。
目の前の子だって衣装は西洋っぽいじゃん!


「郷に入っては郷に従え、です」


彼女が古びた手帳を見ながらたどたどしく言う。
何故ここであんちょこ?


「この世界の言い回しですよね?」

「まあ…うん」


不思議そうに俺を覗き込む彼女に生返事をする。


衝撃的な事実の連続で頭がパンクしそうだ。
一つずつ整理していこう。


俺の目の前にいる女の子は違う世界から来た魔女。
この世界に合わせて碧海 夕月と名乗っている。


ん、待てよ。


「じゃあ本名は違うんだ?」


日本で生活するのに便宜的に名乗っているなら日本名でも納得だ。


元の世界での名前はきっとすげーカッコイイ横文字名前だ。
そうであってほしい。


「はい? 本名?」


もういい。
俺の憧れとか押し付けて悪かった。


夕月ちゃんの純粋な瞳を見てそう思った。


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