好きって3回唱えたら。 | ナノ
第1日


練習が終われば、俺の一日はほとんど終わったようなもんだ。


何となく寄り道とかして家に帰る。
テレビを垂れ流すようにかけて、特に内容のない雑誌を読む。
そうして時間を潰して、腹が減ったら買ってきた惣菜を食べる。


そんなんが俺の最近の生活だ。
一応は一人暮らしだが、成立しているのかは謎だ。


「彼女とかいたらなー…」


きっと美味しい夕飯とか作ってくれて。
それを食べながら一緒にテレビ見て話したりして。


俺のこの生活も少しは変わりそうな気がするのに。


そんな望みを込めた呟きも、一人だけの部屋に虚しく消えた。
俺は今度は溜息をつく。
それも吸い込まれていって悲しくなる。


「あーもー!何かスゴイこと起きろー!」


ガッシャーン!!


耳に刺さるような高音。それとキラキラ光る破片。


俺が腹いせに叫ぶと同時に、部屋の窓ガラスが割れた。
何故か冷静な頭で目の前の光景をそう処理する。


でも、それだけじゃ説明のつかないものが見えている。


「…失敗した…」


散らばった破片の中でそう呟くのはえらく奇抜な格好をした女の子。
色々とツッコミたい所はあるけれど、とりあえず。


人の家の窓割っといて一言目がそれってどうなんだ。


天下のジャイアンもびっくりの理不尽さ。
法律的に言うと器物破損と不法侵入。


そんなとんでもない状況で俺達は出会った。


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