「ねぇ、骸くん」
「何ですか?」
「……やっぱり何でもない」
「心配しなくても、僕はいつでも貴女を愛していますよ」
「逆に心配だよ」

骸くんから窓へと視線を移すと、黒曜ランドには似つかわしくない集団が目に入った。
並盛中の野球部だ。こんな所までランニングかと感心してしまう。

しばらく眺めていると、近くからふと視線を感じた。

「……怒った?」
「何故です?」
「……他の男の子見てたから?」
「僕はそんな事で腹を立てる男ではありませんよ」
「……ああ、そう」

何となくタダならぬ空気を感じたのですが。気のせいですかそうですか。
自分の中でそう完結すると、目の前の骸くんが不敵に笑う。

「貴女が僕以外の男に靡くなんてあり得ませんからね」

そもそも骸くんに靡いた覚えがないんだけど。
そう言いたいところだけど、骸くんが脅しで出す畜生道が怖いので言わない。

「骸くんのその自信はどこから来るの?」

代わりにいつも気になっていたことを聞いてみた。
骸くんはやはりカッコつけたような、鼻にかかった笑いをする。

「でも、貴女はそんな僕が好きなんでしょう?」
「………嫌いって言ったらその性格変えてくれる?」
「嘘は良くないですよ」

骸くんは今日も元気です。今日も会話が噛み合いません。【終】


骸の夢(?)を書いたのは後にも先にもこれ一本だけです。
私の骸に対するイメージ(絶賛誤解中)が全て詰まった会話文となっております。

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